土佐派の家
和紙
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       和紙の章


 土佐和紙は美濃和紙、越前和紙とともに日本の三大和紙のひとつとして名高く、藩政時代から藩外に移出して外貨を稼いでいた良質の建築素材です。インテリアに本物の和紙が入ると、静かさが出てきます。

 雨が降って湿っぽいとき、張り詰めた障子や襖(ふすま)の和紙が緩みます。音の響きが鈍くなり、障子や襖を引く音が変わります。緩むことで、なんとも言えない安らぎの雰囲気が空間を満たすようになります。これこそが湿気の文化そのものという感じがします。また本物の和紙には手漉き作業の簀桁(スゲタ)の跡や板干しの木目が残っていて手仕事の痕跡を愉しめるのも味わいのひとつです。

 「絹五百年、和紙千年」という言葉があります。昔から、和紙は大事に扱えばそれだけ長持ちする素材であることを言い表したものですが、昔ながらの伝統製法による和紙でなければ、そうは言えません。湿気の文化に応えられるのも本物の和紙でなければなりません。しかし近代化の波とともに、合理化とローコスト化の名の下、和紙の世界にもいろんなニセモノの手法が入ってきました。

 伝統の和紙はおもにコウゾ、ガンピ、ミツマタといった木の皮を原料につくられますが、ここに木のチップからできたパルプを混ぜるようになりました。これは和紙の質を洋紙並みに落としてしまう不純物です。
 さらに、繊維をほぐすのに草木炭や消石灰などの穏やかなアルカリで煮る「煮熟」という工程がありますが、ここに強い薬品の苛性ソーダが使われ、紙の強度や艶を犠牲にしながら生産効率をあげるようになりました。

内観写真
紙漉き
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