土佐派の家


序章
土佐派の家

       序 章


 人間が住みはじめて以来ともいえる昔から、この地、高知では木で住居を造ってきました。雨が多く木がよく育ち、住居の材料としてもっとも優れた素材だったからです。土着の伝統的な木造建築の工法に沿って造れば、百年を超える寿命をもった確かな住居が難なくできることは、身の周りの数々の実例が証明してくれます。

 そのような優れた歴史に恵まれながら、太平洋戦争前後には大量の森林の蓄積は伐り尽くされ、特に庶民の住宅の格式部分とされる表座敷周りの柱や天井板などに使われていた天然木の無節材が希少になって、庶民の手の届かない高価なものになってしまいました。

 そこで登場したのが在来軸組工法(通称:在来工法)と呼ばれる戦後工法です。細い柱を並べ、伝統の貫材と土壁をやめてその代わりに筋交いという斜材で固める工法で、合理的ですが粘り強さがありません。これに工場生産された建材、特に紙に印刷された天然銘木シートを合板の表面に貼った新建材といわれるローコストな代替建材(ニセモノ)などを多用して、外材や戦後植林された若い造林木の骨組みを壁材や天井材で覆い隠してしまう建築が一般化して、これがわが国の現在の主流になってしまいました。

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